研究者紹介

【ライフサイエンス】 (2011/10/25公開)

◇伊藤 陽一 准教授 医学研究科 先端医学講座 臨床統計学分野

統計による研究者のサポートとサポート人材の育成を目指す

教授からの勧誘が研究者への第一歩


 統計学との出会いは、東京大学の教養学部の授業で統計学を取ったときに、「なんだかモヤモヤした状況でも何かモノが言える方法があるんだ」と興味を覚えました。医学に興味があったことも手伝って、健康科学・看護学科へ進学し、疫学・生物統計学教室の大橋靖雄教授と出会いました。大橋先生は、工学部から医療情報の分野へ進まれ、若くして疫学教室の教授となられた方で、日本における癌の臨床試験の発展に多大な貢献をされております。学生の頃は、そのようなこととは知らずに、関心を持っていた医学統計ができるということで、大橋先生の下で勉強しました。その後、修論を書いて、博士課程に進学し、博士1 年が終わる頃に、大橋先生より教室の助手をしないかと勧められたことが研究者となった経緯です。
 当時は学生数も多く、学部4 年生から博士3 年までで最大30 名という時期もありました。彼等の研究をサポートしながら、統計家として修行を積みました。
 文科省の橋渡し研究では、生物統計家の雇用が必須ということとなり、北大へ行かないかと勧められました。北大の特任講師として赴任し、その後特任准教授となりました。生物統計の専門家として、研究者の先生方に対して、臨床試験のデザイン(サンプルサイズ設計など)や、統計解析などをサポートしていく中で、生物統計学の有用性を認めていただき、本年3 月に臨床統計学分野という新規分野を作っていただきました。
 現在は、臨床統計学分野の准教授をしております。

統計による研究者のサポートとサポート人材の育成を目指す


 修士課程でHRQoL データの解析、博士課程ではマイクロアレイデータの解析を扱った経緯から、多変量データの解析を専門としています。また、本学での仕事が医師主導臨床試験(治験)のサポートであったことから、最近は、臨床試験の方法論、臨床試験データ管理学、レギュラトリーサイエンス(GCP を含む)の研究を行っています。医学統計学のコンサルテーションの経験が13 年ほどあり、最も得意としているところです。
 医学統計学は、それ自身の方法論を発展させるという面もありますが、医学研究を行う研究者をサポートするという大事な面もあります。本学の臨床統計学分野のミッションとして、研究者の研究をサポートすること、またそのようなサポートができる人材を養成することを掲げて活動しています。

統計は品質管理や業務プロセス改善への応用も可能


 生物統計学はまだ日本ではそれほど認知されていない研究分野ですが、医薬品・医療機器の許認可を行う規制当局(PMDA)においても、また、医薬品を開発する製薬企業においても、必須の専門分野となっています。
 2年ほど前から、PMDA の外部専門委員をしており、新規医薬品の臨床試験データについて、生物統計学の専門家としてコメントしております。日本において真の意味でトランスレーショナル・リサーチを推進するのであれば、知財の専門家と生物統計学の専門家が、研究の早い段階から、知財面での育成や、基礎研究のデータ解析、臨床試験の立案をサポートしていくことが必要ではないかと思います。
 また、科研費研究として、臨床試験関連業種における統計的品質管理手法の導入に関する研究を行っています。工業の分野で発展した統計的品質管理は、近年、製造のみならず、サービス業における業務プロセスの改善にまで応用されています。様々な業務を効率化したり、人、モノ、時間などの資源を最適配分したりすることにも統計学は有用です。そのような改善活動を通して、働く人々が創意工夫をし、楽しく働けるようになることを期待しています。また、こうしたことを、統計教育を通して、実現していきたいと考えています。

その他


 臨床統計学分野では、研究者や学生向けに、統計学の勉強会を随時開催しております。また、統計解析ソフトウェアJMP を医学部の教職員・学生向けに無料で使えるよう公開しております。
 HP上で案内しておりますので、関心のある方はアクセスどなたでもご参加ください。
https://agresti.med.hokudai.ac.jp/biostats/regist.html
北海道大学 北海道大学 研究者総覧 onちゃん北大事務局 北海道大学研究シーズ集Webサイト
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