研究者紹介

【ナノテクノロジー・材料】 (2011/07/25公開)

◇村越 敬 教授 大学院理学研究院化学部門 物理化学研究室

各種エネルギーを相互に自在に変換できるシステムの構築


実験で得られた「驚きと感動」が研究のモチベーション


 学生時代はお世辞にも勉強熱心とは言えませんでしたが、学部の卒業研究で「イオン伝導材料を手でひっぱたくと起電力が発生する」というテーマを頂いて、試料の調整、計測装置の自作、現象の理論的解析を通じて研究のおもしろさに目覚めました。自分で工夫した方法でそれまでとは異なる現象が観測できた瞬間には純粋な驚きと感動が(ちょっと大げさですが)あり、それ以来、それを越える感覚を求める中毒症状に近いものが内面に形成された感があります。

各種エネルギーを相互に自在に変換できるシステムの構築


 当研究室では、物理化学をベースにナノからメソスコピック領域にある無機・有機材料の物性開拓や構造制御を行い、従来にはない新しい機能を物質系に賦与・発現させる研究を行っています。例えば、光・触媒材料として注目されている単層カーボンナノチューブを、ナノギャップをもつAu 微小構造体近傍に担持して光照射すると、ナノギャップ内に発生する局所光増強場により、ナノチューブの光電子遷移の選択則変調の可能性を示唆する知見が得られています(Fig. 1(a))。また、高活性な酸素還元触媒能をもつカーボン材料を実現するために、電気化学的な手法を用いて、単原子レベルで構造や触媒活性サイトが制御されたナノカーボン材料の作製や(Fig. 1(b))、数十nm 程度の幅をもつ金属
微小構造の間隙に細胞膜である脂質二重膜を流入させることで、全く新しい原理に基づく分子分別・分離システムの構築を行っています(Fig. 1(c))。また、常温の溶液中にて単分子接合を形成し、光の摂動を単分子サイズに集約することによってこれまでとは全く異なる分子の光励起プロセスが誘起されることを見出しています(Fig. 1(d))。このように我々は、表面科学・電気化学的なアプローチに基づき、微小構造に特有の物性を積極的に変調し、微小部位での電子や分子、さらには光子の流れなどを人為的に制御する様々な研究を行っています。将来は化学エネルギーや光エネルギー、さらに熱や運動エネルギーなどを相互に自在変換することが可能な新しいエネルギー変換システムの構築を目指します。

Fig.1 (a) 局所光増強電場によるナノチューブの選択的局所光励起の概念図.(b) 酸素還元触媒能を持つ構造制御カーボンナノチューブ合成の概念図.(c) ナノ空間を構築する金属微小構造体配列基板のAFM 像と本基板上を自発展開する自発展開膜の顕微鏡写真.(d) 単分子接合の形成と空間異方的光励起

産学連携により独創的・革新的な知識・技術を生み出す


 現在の日本では、少子高齢化や新興国の台頭などにより、その産業競争力が大きく低下してきています。大学と産業界がより密接に連携し、独創的かつ革新的な知識・技術を生み出すことが、日本が世界の中で生き残るためにも、重要なカギになると考えています。この産学連携により、日本発(札幌発)の新しい産業のコアとなる新発見が実現すれは、教育・雇用などに対し、大きな社会貢献が可能であると考えています。

研究室紹介

我々の研究室は、スタッフ3 名、秘書1 名、学生23 名(外国人留学生は2 人)の総勢27名の研究室です。みな、新規機能性物質・現象の探索に日夜奮闘をしています。
研究室HP http://wwwchem.sci.hokudai.ac.jp/pc/

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