研究者紹介

【情報通信】 (2011/02/25公開)

◇平田 拓 教授 大学院情報科学研究科

医工融合の新しいテクノロジー創出を目指す


研究者になるという思いと研究への執着心が今を築く


 1986 年に酸化物高温超伝導体の発見があり、マスコミも含めて大騒ぎになったことがあります。ちょうどその頃、私は学部の三年生でした。当時は、まだ明確に研究者になるというようなことは考えていませんでしたが、高温超伝導体の発見とその後の影響をみて、研究や研究者に憧れを持ったことを覚えています。四年生になる前には、周りの人達が大学院へ行くようなことを話していました。その頃には、「研究者になる」と自分で決めていたように思います。ただし、研究者としてやれるかどうかはまったく考えていませんでした(今から考えると、なんと言うお気楽な決断でしょうか!)。思い込みだけで「研究者になる」と決めたように思います。大学院に入ると、もう少し現実が見えてきますので、プランA として、修士の一年目を精一杯やって、研究がやれそうだったら博士課程に行く、ダメな場合は、プランB として地元に帰って高校の先生になろうと計画を立てました。修士課程の1年が終わった時点で、博士課程に行くことにしました。この時点でも再び同じことを繰り返します。研究者としてやれるという確信はないまま、相変わらず「研究者になる」と思い込んでいました。博士課程修了後は、幸いにも山形大学の助手に採用してもらい、研究者の末席に座ることになりました。大した経緯や背景は何もないのです。強いて言えば、根拠も無く「研究者になる」と思い込んだことが、研究者となった理由でしょうか。最近、人並みはずれて執着できることが研究者の大事な条件の一つであるとMIT の利根川進教授が書いている記事を読みました。同感です。

生命科学や医療分野で新しいテクノロジーを構築する


 生物・医学分野への応用を目指して、磁気共鳴分光の一つである電子常磁性共鳴分光と、それを利用したイメージング法について研究を行っています。物理学や工学的な手法、エレクトロニクス技術を用いて、生物・医学分野の問題に挑戦し、生命科学および医療の分野において新しいテクノロジーを構築することを目指しています。進行中の研究プロジェクトでは、動物の体の内部において、特定の標的分子(フリーラジカルと呼ばれる分子)を検出・可視化する電子常磁性共鳴(EPR)分子イメージング法の研究をしています。フリーラジカル分子を動物の体内で可視化するEPRイメージングでは、解像度の改善、計測時間の短縮、他のモダリティー(例えばMRI)との融合、生体内の機能的情報(例えば、酸素分圧やpH)を可視化するイメージングが、計測技術における重要な課題です。工学を背景としているため、生物・医学分野の応用よりは計測や設計等の手法を構築する仕事に強みを持っています。

Win-win な共通目標と大学・研究者の文化を知ることが必要


 研究資金は殆ど税金を使ってやらせていただいています。そのため、研究成果を通じて社会貢献するという意識は常にあります。実際の研究では、日常的な失敗や時々の小さい成功しか手にできないので、これまでに社会を変えるような貢献をしたことはありません。しかし、新しく生み出した知識や手法で、他の研究者や社会に貢献したいとは思っています。
 産学連携には幾つか条件が必要です。何より、会社と大学の研究者双方がwin-win の関係になる目標設定が必須です。大体、大学の仕事は短期的には利益を生み出しませんから、多くの場合、表面的な産学連携は失敗します。Win-win な目標がある場合のみ、産学連携は上手くいくと思います。次に大事な点は、大学の人の特徴を知った上で利用することが成功の近道です。とにかく、日常的な指向がかなり違うので、よくよく(大学の)人を見
て話をするのが良いです。その点では、産学連携の担当者の方は大学の研究者を良くご存知でしょうから、きっかけが無い場合には産学連携のコーディネーター機能を利用するのが安全でしょう。最後に、大学の先生に「○○はできますか?」と聞かないことです。大体は「できます」と答えますが、その前に声に出して言わなくても「原理的には」と付いています。「経費を回収した上でビジネスとして」できます、とは考えていません。ある日、
「先生、できるって言ったじゃないですか!」とトラブルにならないためにも、よくよく認識を合わせておく必要があります。
 このようなメールマガジンをお読みの方には周知のことだったかもしれません。

他の研究者や社会に貢献できるような成果を出す!


 2008年10 月に山形大学から北海道大学に北上してきました。最近、ようやく研究グループらしくなってきましたが、まだ70%程度の立ち上がりです。研究グループが全速力で走るためには、もう少し時間が必要ですので、現状では未だ過渡期にあります。2008 年の移動と同時に、JST の先端計測分析技術・機器開発事業の要素技術プログラムに採択していただきました。このプロジェクトでは、世界最速のEPR イメージング装置を開発することができました。この原稿を書く直前に、内閣府の最先端・次世代研究開発支援プログラムに採択していただき、新しい磁気共鳴分子イメージングのプロジェクトを開始することになりました。一刻も早く全速力で走れる研究グループを作り、新しい(できれば生活
や社会に影響するような)成果を出したいと考えています。
北海道大学 北海道大学 研究者総覧 onちゃん北大事務局 北海道大学研究シーズ集Webサイト
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