研究者紹介

【ナノテクノロジー・材料】 (2012/02/25公開)

◇清水 研一 准教授 触媒化学研究センター 触媒ターゲット研究アセンブリ

つくる研究(触媒開発・反応開拓)と調べる研究(原理解明)の両方を目指す!


ある日の“カイカン”が研究者への道を拓く


 4年の研究室配属から約2年間、感動的な発見はゼロでした。ぱっとしない気分のまま、実験だけは続けていた修士1年の冬、“研究の種”を発見したことで、初めて“カイカン”を知ました。「社会に出たら味わえないかもしれない(長期休暇での山登りも続けたい)」との思いから、博士課程に進みました。博士後期課程1年の時点で、奨学金の返済のことを思い「大学で教員になるしかない」と決めました。論文発表、研究者のステップアップともに“個人戦”であり「自分の力で自分の未来を切り開く」という点に素直に「挑戦しがいがある」と感じて熱中しました。結果、大学で助手のポストを得るという形で初戦に勝利しました。しかし博士課程を“カイカン”と“勝負への熱中”だけで駆け抜けたため、真の研究者に成るには、博士取得後の様々な経験が重要でした。研究者同士が活発に議論する触媒学会の風土、毎年年末の恒例行事と化した「泥(成果ゼロ)からあと数ヶ月でどうやって卒論を成立させればいいのか!?」に関する学生との議
論、学科内外の異分野の先生方とのアイデア交換などを体験しながら、徐々に“研究”のスタイルができあがりました。多くの皆様と切磋琢磨できたことに感謝しています。学術交流や技術交流の過程には研究上の発見とすこし似た、“共振”と言って良い、相手とシンクロして新しいアイデアが生まれる瞬間が有ります。この“シンクロ体験”も研究上の楽しみである事を知ることができました。発見の“カイカン”、“勝負への熱中”、“シンクロ体験”をモチベーションとして、なかなか報われない実験・雑用の日々を生き生きと過ごしていこうと思っています。

機能の異なる複数の金属・酸化物種を近接させた界面の設計が鍵


 稀少金属資源の使用量を最小限に抑えた化成品合成と環境浄化用固体触媒の設計を目的として研究を行っています。機能の異なる複数の金属・酸化物種を近接させた界面の設計が複合効果の任意制御の鍵となると考えています。具体的には、以下のような課題に取り組んでいます。
 1)グリーン有機合成用固体触媒:白金族錯体の性能を代替・凌駕する金属ナノクラスタ
ー触媒の開発
 2)自動車排ガス浄化触媒:非白金系自動車排ガス浄化触媒の開発とin-situ 分光法による作用機構解明
 最近、卑金属触媒にも展開し、「卑金属でも構造制御により白金族を上回る触媒性能を引き出せる」ことを立証すべく、新触媒開発と基礎研究を進めています。多成分で構成された多結晶体表面の不均一性(性質の異なる複数の活性種から構成されたアンサンブル)を積極的に利用した協奏的反応場の設計指針がおぼろげながら見えてきた段階です。詳細は研究室ホームページ上の原著論文をご参照下さい。
http://www.cat.hokudai.ac.jp/shimizu/

つくる研究(触媒開発・反応開拓)と調べる研究(原理解明)の両方を目指す!


 化学産業の中でもファインケミカル分野は高付加価値が望める反面、E-ファクター(グリーンサスティナブルケミストリーを評価する指標)が極めて高い(多量の副産物を生成・廃棄する)ことから、本分野の技術革新はCO2 削減(省資源化)と国内化学産業の競争力強化に直結します。従来、有害かつ再利用不可能な補助剤(ハロゲンなど)や白金族触媒を用いた多段階法で製造できたファインケミカルを再利用可能かつ安価な卑金属固体触媒を用いた一段階・非ハロゲン法で製造することが技術革新の鍵と考えますが、先行例は極めて少ないです。当グループの有機合成用、卑金属固体触媒に関する技術が、ファインケミカル製造分野における技術革新の鍵となると信じています。大学院に属する教員にとって最も重要な社会貢献は大学院教育です。研究目標を実践する過程で、複数の学問領域(分光・触媒・有機・電気化学)を融合させ、個々の学問分野での常識では発想できない新材料・新領域を創成できる人材、”scientific method”を触媒設計の分野で実践し、結果をもとに自ら仮説を立て、軌道修正・展開する能力を持った人材を育成したいです。これまでの企業との共同研究の過程で、種々の解析手法を駆使して得られる基礎データをもとに課題発見・問題解決する能力が実触媒開発の現場でも必要とされ
ていることを痛感していますが、国内外の触媒分野において、つくる研究(触媒開発・反応開拓)と調べる研究(原理解明)の両方を得意とするグループは意外と少いのです。上記の教育目標を達成して社会的要請に応えたいです。研究室運営を通じて学生の自律性を養うことも重視しています。学生自身で実験現場の安全性・効率性を向上させること、複数のテーマに学術的・技術的関連性を持たせることで、研究の価値や実験の原理等について学生間のディスカッションが自然発生する仕組みを作ることが重要と考えています。大学院での講義においても、科学的内容を自ら論理的に表現する能力を重視しています。大学院重点化以降、「大教室での一方的な講義」が一般化しました。しかし、高度な化学系研究者を養成するためには、一対一での口頭試問や学生が講義内容をプレゼンテーションして質疑応答で講義を進めるといった、ゼミに近い教育方法が最も有効であるとの考えのもと、試行
錯誤的な講義も行っています。

社会人学生募集中!


 博士後期課程の社会人学生を募集しています。触媒研究分野で自律した研究者を目指す方、固体触媒研究の方法論(表面構造解析、反応メカニズム解析)を修得したい方、当グループにて研究にチャレンジしませんか!自由な発想で研究に取り組める研究環境を用意しています。
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