研究者紹介

【ライフサイエンス】 (2012/02/25公開)

◇GOTO Derek 特任助教 創成研究機構 研究部 戦略重点プロジェクト研究部門

北海道や世界の農業への貢献も視野に入れた分子生物学研究


北大での研究を社会へ還元するアウトリーチ活動


 「アウトリーチ活動」をご存じですか。アウトリーチとは、英語で手を伸ばすことを意味します。近年、研究者や研究機関は、科学技術分野のアウトリーチ活動として国際会議での発表や研究論文の発表を通じて研究成果の世の中の還元を図っています。
 今月ご紹介する研究者 GOTO Derek助教は、国際学会等での専門家を対象としたアウトリーチ活動だけでなく、道内で農業や生物に関する科学に興味を持つ市民の方々や、未来の科学技術の発
展を担う小中高校生など、専門家ではないが科学に興味を持つ多くの人々に対して、北大での研究成果を還元する「アウトリーチ活動」を、ご自身の研究の傍ら続けています。

アウトリーチ活動の原点は出身地オーストラリアでの原体験


 GOTO 助教が、一般市民向けや、小中高校生向けのアウトリーチ活動に積極的に関わるきっかけとなったのは、ご自身の出身地であるオーストラリアでの経験です。GOTO先生は、オーストラリアの北西部の街、ポートヘッドランドという街で高校生まで過ご
されました。この街から、一番近くの大学までは、1,000km以上離れており、距離的にも、心理的にも、大学の最先端研究など非常に遠いものに感じたといいます。また、大学入学後、自身の学問分野や進路を決めるにあたり、大学入学前の早い時期から、大学で何をしているのかについて触れる機会がもっとあればよかったと感じたそうです。
 大学在学中、農業分野へのアウトプットを意識した分子生物学の基礎研究に興味を持たれたGOTO 先生は、北海道大学農学研究院” Postgraduate Program in AgriculturalChemistry” 第1期生の大学院生として再来日されました。

北海道や世界の農業への貢献も視野に入れた分子生物学研究


 GOTO 先生の現在の研究テーマは、ネコブセンチュウの寄生メカニズムの解明です。ネコブセンチュウは、土壌中に生息する微小動物で、私たちの身近な、ニンジン、ゴボウ、トマトなどを含む広い範囲の植物種の根を痛めつけます。そして、ネコブセンチュ
ウの感染により、植物根の形成異常、病原体感受性の亢進、生産性の顕著な低下等を引き起こします。ネコブセンチュウが原因となる作物被害は、全世界の農業生産物の約5%に相当すると推測されています。
 現在の唯一有効な防御手段は、毒性の高い化学物質(殺センチュウ剤)の散布のみというのが現状です。殺センチュウ剤に代わり、安全な作物生産のための、効果的かつ持続可能な手法の発見が重要な課題になっています。しかし、ネコブセンチュウの感染過程に関する生物学的解明が不足しているため、開発が停滞しています。そこで、GOTO先生の研究グループは、ネコブセンチュウに対する抵抗性をもった植物の栽培育成や、新たな防御手段の開発に貢献すべく、ネコブセンチュウ寄生メカニズムの詳細分析や、ネコブセンチュウが宿主から栄養を吸い取る部位を宿主側に発生させる分子機構に関する研究を進めています。

これまでに行った研究室でのアウトリーチ活動


 GOTO 先生は、2009年からこれまでに、未来の科学技術を担う子供達向けへのアウトリーチ活動を数多く行っています。写真は、小学生向けの実験教室で、普段使用している実験室を子供達に開放し、普段食べている身近な野菜からDNAを抽出する実験
や、自分自身の細胞を観察する実験を行いました。また、北海道大学女性研究者支援室がJSTからの委託を受けて実施している未来の科学者養成講座の一環として、道内の高校生を受け入れています。
 アウトリーチ活動は、札幌の北大キャンパス内に限りません。去る2月11日、12日には「あぐり・ワークショップin 富良野」を北大農学部の教員・大学院生とともに富良野市に出向いて開催しました。高校生へ農作物とネコブセンチュウについての出前授業や、外国人留学生とともに英語による研究発表のワークショップを行いました。
 GOTO 先生は、このようなアウトリーチ活動を通じて、将来的に研究成果の道内各地の農業へ円滑に還元できる下地を作るとともに、若い世代に対してより早い時期から国際化に対応する能力を身につけてもらいたいと考えています。

これからの活動


 一般市民向けのアウトリーチ活動として、2012年5月18日の「国際植物の日」(http://www.plantday12.eu/japan.htm)の日本コーディネーターを務められます。これは、世界のみんなで植物の大切さを考え、植物科学を一般向けに全世界的に同じ日に発信するという取り組みです。
 また、GOTO 先生は、2012年4月より北大農学研究院の准教授に就任されます。就任されるにあたり、今後益々、研究教育活動に腰を据えて取り組みたいと意気込んでおられます。また、道内各地での出前授業や、北大農学部に興味を持つ高校生などへの
研究室紹介も積極的に行いたいとのことで、ご興味ある方は、是非一度、GOTO 先生にコンタクトなさってください。

The Goto Lab HP

http://www.agr.hokudai.ac.jp/gotolab/kenkyu/
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