研究者紹介

【ライフサイエンス】 (2013/03/28公開)

◇峯田 克彦 准教授 情報科学研究科 生命人間情報科学専攻 バイオインフォマティクス講座

遺伝子から感覚を読み解く

バイオテクノロジーへの興味から脳の進化過程解明へ


 静岡県三島市出身。高校時代からバイオテクノロジーに興味を持ち始め、東京大学農学部農芸化学科に進学されました。研究室では植物が重金属を蓄積するメカニズムに着目し、メタロチオネンというタンパク質を用いた形質転換植物の研究を行っていたそうです。汚染された土壌で植物を育てて有害物質を除去するという技術は、現在でも放射線物質の除去等にも応用されるなど、注目の技術です。
 博士後期課程への進学を考えた時に、生物の進化に興味を持つようになり、進化について研究を行うため国立遺伝学研究所の門をたたきます。ちょうどその頃はゲノム計画が始まったばかりで、様々な生物のゲノム情報が解明されつつありました。総合研究大学院大学に進学し、分子進化学、バイオインフォマティクスの大家である五條堀孝教授の下で、プラナリアの持つ原始的な脳に着目し、ゲノムや遺伝子発現という網羅的な情報から脳の進化過程を解明するという壮大な研究テーマに取り組みました。
 学位取得後は国立遺伝学研究所や理化学研究所(神戸研究所)などでのポスドクを経て、The University of Chicago に1年間留学後、本学に着任されました。実はポスドク時代に本学で数ヶ月間共同研究を行ったこともあるそうで、本学には少なからずご縁があったそうです。

遺伝子から「味覚」や「聴覚」を解明する


 読者の皆さんは、犬や猫、鳥、魚にも味覚はあると思いますか?それは、私たち人間と同じように感じていると思いますか?
もちろん動物に「美味しい?」と訪ねても「甘さの加減が絶妙だね!」なんて応えてはくれません。ところが、ゲノムを解析することで動物たちがどんな味覚を持っているのかが解析できるようになってきました。
 現在、峯田准教授の興味はこのような「感覚」へも広がってきています。「味覚」や「聴覚」も、実は大きく遺伝子が関与していることが分かってきていました。人の場合はうま味、甘み、苦みにはG-タンパク結合受容体が関係していて、親戚のような関係にあるそうです。また、味覚の好みは食生活などの環境によって後から獲得されるものと考えられていますが、実は人種によって味覚を司る遺伝子に突然変異が入ることで、遺伝的な違いもあることが分かってきています。
 遺伝子だけで味覚の全てを解明することは難しいですが、例えば一部の人工甘味料を人は甘く感じますが、ネズミは甘いと感じないそうです。これはG-タンパク結合受容体の結合部位の立体構造の違いによるものです。このようなデータの積み重ねから、将来、人や動物が様々な食べ物をどのように感じるのかを、ある程度予測することが可能になるかもしれません。
 生物は、進化の過程である味覚を獲得したり、逆に失ったりと、様々な取捨選択が行われてきていることなどもわかってきており、峯田准教授の興味は尽きることはありません。

基礎研究を進展させるために産学連携に取り組む


 産学連携の取り組みはまだ始まったばかりとのことで、まだまだ試行錯誤だそうです。近年、動物愛護の立場から、企業においては動物実験を避ける動きもあり、ゲノム科学、遺伝学、そしてバイオインフォマティクス的な切り口から味覚などの感覚機能の解明は、今後重要になってくるとお考えです。そこで、基礎研究から一歩踏み出し、企業との共同研究も今後は行っていきたいと考えています。

研究室の紹介

バイオインフォマティクス講座 構造バイオ情報科学研究室
http://ibio.jp/
北海道大学 TLO通信 創業デスク 北海道大学研究シーズ集 vol.4
食科学プラットフォーム 北海道大学URAステーション 北海道大学 研究者総覧 onちゃん北大事務局