◆「電子ホログラフィによるHMD型3D表示装置の開発 -理想的な3D映像の表示-」

【情報通信】 (2013/08/21公開)
大学院情報科学研究科メディアネットワーク専攻
坂本 雄児 准教授


坂本教授の最新のシーズ技術はこちらよりご覧いただけます

人間の知覚を満足させる3D映像技術の確立に向けて


 近年、映画やテレビジョン、ゲーム機などに3D映像が用いられ、身近なものとなってきています。しかし、現在実用化されている3D映像技術は、乗り物酔いの様な不快感や長時間の視聴による疲労の発生が問題となっています。3D映像技術は様々なものが提案されていますが、ホログラフィ技術のみが人間の知覚を全て満足させる唯一の理想的な3D映像技術であるとされています。このため、次世代の3D映像技術として、ホログラフィ技術を電子化した電子ホログラフィ装置の3Dモニタや3DTVへの応用が期待されています。しかし、従来、電子ホログラフィは技術的な困難さから、装置が高価で大型、かつ低画質などの問題がありました。
 坂本准教授のグループは、新たな計算アルゴリズムと光学系の原理を提案し、高画質で、小型で軽量、かつ低価格な電子ホログラフィ装置を開発しました。

新たな計算アルゴリズムによる電子ホログラフィ装置


 提案された電子ホログラフィ装置は、頭部に装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)として利用することを目的に開発されました(図1)。従来のHMDでは、液晶パネルに表示された映像をそのまま空間に投影しているため、焦点調節に対する奥行きは固定されます。これに対して、電子ホログラフィでは液晶パネルに表示されるのは光の波面パターン(図2)となり、再生された3D映像は物体の奥行きに合わせて表示されます。図3はカメラの焦点位置を変えて撮影した例で、図3(A)では、手前の球に焦点が合い下地の模様も綺麗に写り込んでいて、かつ、後ろの金色の球はボケているのに対して、焦点を後ろの金色の球に合わせた図3(B)では、手前の球がボケています。このことからも分かるように、電子ホログラフィは理想的な3D映像を表示することができます。
 この波面パターンはコンピュータによって計算されます。開発された電子ホログラフィ装置では、計算アルゴリズムによるデータ補正によって、従来必要であった複雑な光学系を単純な構成の光学系に置き換えました。これによって、小型、軽量、低価格かつフルカラーの美しい画像を実現しています。また、今回開発された装置では,電子ホログラフィとしては世界でもトップクラスの3m離れた32インチ相当の表示領域を持ち、その画質とともに、実用的な表示を実現しています。

今後の期待


 この電子ホログラフィ装置は、CADなどにおける機械設計の立体表示、分子設計における立体モデルの表示などの3D映像の表示システムの応用だけでなく、遠隔医療システム、HMDによるARシステムや立体顕微鏡、立体内視鏡や、更により進んだダ・ビィンチシステムなどの様々な分野の装置への組み込みが期待されます。

関連情報

・Yuji Sakamoto, "Introduction to Holo TV System," 2013 International Workshop on Advanced Image Technology, Jan.2013, Japan
・Takuo Yoneyama, Chanyoung Yang, Yuji Sakamoto, Fumio Okuyama, "Eyepiece-type full-color electro-holographic display for binocular vision," Proc. SPIE, 8644-38, Feb. 2013
・Tsubasa Ichikawa, Kazuhiro Yamaguchi, Yuji Sakamoto,"Realistic expression for full-parallax computer-generated holograms with the ray-tracing method," Appl. Opt. 52,A201-A209,2013
http://cgh.ist.hokudai.ac.jp

研究室ホームページ

http://mcm-lab.ist.hokudai.ac.jp
北海道大学 TLO通信 創業デスク 北海道大学研究シーズ集 vol.4
食科学プラットフォーム 北海道大学URAステーション 北海道大学 研究者総覧 onちゃん北大事務局