研究者紹介

【ナノテクノロジー・材料】 (2013/10/21公開)

◇中西 貴之 助教 大学院工学研究院 物質化学部門 機能材料化学分野

『光を蓄えて有効に利用する物質』の開発

『光』に魅せられ研究者の道へ


 現在、私は工学研究院の応用化学コース物質化学部門に所属する『発光』に魅せられた研究者です。また同時に学部・大学院学生に化学を指導する教員でもあります。もともと『光るもの』に興味があった私はレーザー光を学ぶため、物理工学科に所属していました。大学院の修士課程では、エネルギーとしての光に興味を持ち太陽電池に魅せられエネルギー科学を修学しました。さらに博士課程では発光物質に興味を持ち無機セラミックス化学を学びました。今は有機合成を学びながら錯体化学の研究室で発光性の希土類錯体の研究に挑戦をしており、『光』をキーワードに日々研究に励んでおります。研究者になってよかったと思うことは、同じ共通テーマに興味を持つ人がいれば、その背景や考え方は人それぞれあり、それが刺激となりいつもフレッシュな考えや気持ちでいれることです。今は異分野の多種多様な人との交流を通じ、新しいフィールドに立つことができる大学研究者になれ、本当によかったと思います。

『光を蓄えて有効に利用する物質』の開発


 現在、手がけている研究の一つに希土類Euを用いた光を蓄える性質(蓄光機能)を有するガラスセラミックスがあります。ガラスセラミックスとは結晶とガラスとのコンポジット材料の総称のことで、複合化により様々な機能を引出した機能物質のことです。身近なところでは『結晶化ガラス』の名で建材や耐熱ガラスなどの社会インフラから、近年では電子産業、光産業など様々な用途に活用されています。
 私の研究では「蓄光機能」を有する結晶を選定し、フローズン・ソルベ法によりガラスコンポジットを設計して、高い透明性と優れた光貯蔵能力を有する結晶ガラスの開発を行うことに成功しました(図1)。この物質は大きなガラス板で得られ、光エネルギーを電子/ホールのエネルギーとして貯蔵し、それを熱や光、力の刺激で利用できるので、従来の長残光蛍光体用途だけでなく、応力センシングやエネルギー貯蔵材料として、様々な用途への利用が期待されています。

図1. 合成した透明結晶ガラスの微細構造。 結晶が光を溜め込み、熱や力の刺激で光や電気と利用できます。図の左下は蓄光による生じた長残光の様子。

産学連携の推進と社会貢献


 新たな産業を創成するには、大学と企業が互いに相乗効果をもたらしながら連携することが強く望まれています。そのために大学研究者は、新しい現象を見出しながら、その技術をどう社会に活かせるかを考える必要があります。我々も世の中で何が求められているか常にアンテナを張っているつもりではいますがそれでは不十分です。国民の税金で得られた貴重な学術的知見を産業化に繋げて社会貢献するには、企業の助けが不可欠です。よって両者の橋渡しを担うTLOの重要性は今後ますます高まり、研究者と企業が積極的に参加できるさらなる仕組み作りが必要だと考えています。

研究室ホームページ


http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/amc/index.html

中西助教の最新のシーズ技術はこちらよりご覧いただけます(2016年研究シーズ集 vol.3掲載)

Update 2016-09-08
北海道大学 TLO通信 創業デスク 北海道大学研究シーズ集 vol.4
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