◆「テーパ光ファイバとそのセンシング応用」

【ナノテクノロジー・材料】 (2013/10/17公開)
電子科学研究所 量子情報フォトニクス研究分野
竹内 繁樹 教授

テーパ光ファイバとは


 最近、非常に微小な化学物質や、DNAの識別などに、色素分子や量子ドットなどの単一発光体を蛍光プローブとして用いた単一分子検出が行われています。しかし、そのようなシステムでは、「単一発光体からの蛍光をとらえる為に高額な共焦点顕微システムが必要である、また、発光体からの蛍光を単一モード光ファイバに効率よく結合できない」などの困難がありました。この困難を解決するべく、我々の研究室では、光ファイバの一部を、髪の毛の100分の1以下にまで細く引き延ばした「テーパ光ファイバ」を研究しています。

テーパ光ファイバの原理


 テーパ光ファイバとは、光ファイバを高温で溶融させながら、その一部を直径が光の波長より細くなるまで(0.3ミクロン)引き延ばしたデバイスです。この光ファイバを用いることで、直線状の微小領域に光を強く集光し照射することが可能になります。また、その細まった部分に、蛍光色素、マーカーを修飾することで、分子等の蛍光を、共焦点光学顕微鏡と同等以上の効率で、ファイバに直接結合することが可能です。高額な共焦点顕微鏡システムなしで、光ファイバを光源や計測器に接続するだけでシステムを構成できるようになります。
 最近我々は、テーパ光ファイバ上の単一量子ドットからの発光が、7.4%以上、テーパ光ファイバに結合することを実証しました[1]。これは、通常の共焦点顕微鏡の集光効率を大きく上回る値です。現在、このテーパ光ファイバに微細加工を施すことで、さらにこの結合効率を100%に近く高める[2]研究を行っています。このテーパ部では、直径1ミクロン以下のガラスがコアに、空気等がクラッドとなり、光は伝搬します。その際、光はガラスから強くしみ出しながら伝搬するため、ガラス管近傍の分子や材料は、その強く集光された光と相互作用することが可能になります。

今後の応用


 バイオ光センシング、化学光センシングなどが考えられます。テーパ光ファイバの両端は、通常の単一モード光ファイバですので、そのまま、各種分析装置や検出器に接続可能です。現在、高額で大型な共焦点顕微鏡を必要とするシステムを、小型化、低価格化できる可能性が考えられます。

その他 関連情報

[1] M.Fujiwara, K.Toubaru, T.Noda, H.Q.Zhao and S.Takeuchi:
Highly Efficient Coupling of Photons from Nanoemitters into Single-Mode Optical Fibers, Nano Lett. 11 (10), 4362-4365 (2011)

[2]「テーパ光ファイバ」、特許第5354605号、国立大学法人北海道大学

研究室ホームページ

http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/qip/index.html
Update 2016-12-14
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