研究者紹介

【環境】 (2014/03/25公開)

◇竹本 真紹 准教授 大学院情報科学研究科 システム情報科学専攻 システム融合情報学講座

モータによる環境負荷の低減を目指して

研究者を目指したきっかけ


 強電関係を勉強したいと考え,学部4年生の時に,現在の専門分野であるモータの研究室に所属しました。そして,実際にモータの研究・開発に従事したところ,その面白さに魅了され,大学に残って研究を続けたことが,研究者になった経緯であります。

モータによる環境負荷の低減を目指して


 現在,モータは,産業,運輸から家庭に至る様々な場所で使用されていることから,日本の全発電量の半分以上がモータで消費されています。そのため,モータの効率を向上することは,エネルギー起源の二酸化炭素削減に非常に効果があり,地球温暖化対策さらには石油などのエネルギー資源の枯渇対策の観点から非常に重要な研究課題です。そこで,「モータによる環境負荷の低減」を合言葉に研究を行っております。
 主な研究テーマとしては,( I ) モータの高性能化に関する研究,( II ) 磁気浮上技術を活用したベアリングレスモータ・磁気軸受に関する研究,に大別されます。

( I ) モータの高性能化に関する研究
 まず,「モータの高性能化に関する研究」について,説明させていただきます。モータは,電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械であり,モータ単体で使用されることは無く,その変換された機械エネルギーを消費する負荷が必ず接続されます。従って,モータの高性能化を考える際,モータと負荷を組み合わせたシステムとしてのトータルの性能向上を図ることが重要です。そのため,特定用途毎に最適なモータを開発することが重視されます。そこで,この研究テーマにおいても,特定用途毎に最適なモータに関する研究・開発を行っており,複数の企業との共同研究を通じて,用途の異なる数種類の研究プロジェクトを実施中です。研究プロジェクトを実施する際に心がけているのは,接続される負荷に比べて,モータの設計自由度は高いことが多いため,負荷に合わせたモータを開発することです。そして,モータの高効率化に加えて,小型化・高出力化・低騒音化・低振動化・低価格化も重要な課題であり,これらの課題を改善することで,付加価値の高いモータを目指しています。
 これまでに実施した研究プロジェクトの一つの具体例を簡単に挙げさせていただきます。

「EVシティコミューターのためのフェライト磁石を用いたインホイール型アキシャルギャップモータ」
 近年,電気自動車(以下,EVと略記)は,地球温暖化問題やエネルギー問題への解決策の一つとして,世界中で盛んに研究開発されており,その性能は大きく向上しています。しかし,一回の充電による長距離走行が難しいこと,そして,バッテリー価格が高いことが,EVの普及を妨げております。そこで,長距離走行が不要であり,バッテリーサイズが小さいため価格を抑えられる都市内の移動や近郊からの通勤を目的としたEVシティコミューターが注目を集めています。シティコミューターは,車内空間が狭いため少しでも空間を有効に活用するために,ホイール内部にモータを収める,インホイールモータ構造であることが望まれます。一般的にEVに用いられるインホイール型の永久磁石同期モータは,小型化・高出力・高効率といった高い性能が要求されることから,高性能磁石である希土類磁石が使われてきました。しかし,レアアース磁石の原材料であるネオジムやジスプロシウムといったレアアースは,高価であるのに加えて,近年発生したレアアースショックと呼ばれる急激な価格高騰が再度発生する可能性を持つため,レアアースのモータへの使用は望まれていません。
 そこで本研究プロジェクトでは,希土類磁石の代わりにフェライト磁石を用いた安価なEV用インホイールモータについて検討を行いました。しかし,フェライト磁石の残留磁束密度は希土類磁石に比べ30%程度と小さいことから,トルクの低下が大きな問題となります。そこで,トルクの増加とインホイールモータで要求される軸方向の薄型化が望めるアキシャルギャップ型の構造を採用しました。そして,コアレス回転子構造の表面磁石型とすることで,マグネットトルクを最大化しております。さらに,固定子内側に減速ギヤを組み込むことにより,シティコミューター用のインホイールモータとして要求される仕様を満たせるモータ構造を開発しました。実際に開発したモータの写真とそのモータを搭載した車両の写真を以下に示します。


( II ) 磁気浮上技術を活用したベアリングレスモータ・磁気軸受に関する研究
 次に,「磁気浮上技術を活用したベアリングレスモータ・磁気軸受に関する研究」について,説明させていただきます。ベアリングレスモータは,モータと磁気軸受機能を一体化させたモータであり,回転子主軸を電磁力により,完全非接触で浮上回転させることができます。そのため,無摩擦・無潤滑で回転子主軸を回転できるため,高速回転が可能,そして,潤滑油が使用できないような特殊環境下での運転が可能,などといった特長を備えており,付加価値の高いモータであります。このようなベアリングレスモータと磁気軸受に関する研究についても,用途の異なる数種類の研究プロジェクトを実施しております。

産学連携を通して、さらなる性能向上化へ


 大学における研究成果を可能な限り社会に活かしたいと思い,企業との共同研究を通じて産学連携を積極的に進めております。特に,私の研究テーマであるモータは,実社会のあらゆる場面ですでに活用されていると同時に,モータの性能向上に対する社会的要求が強いため,産学連携を通じて,大学の研究成果を社会へ貢献しやすいと考えております。今後も,継続して産学連携を進めていく予定です。
 また,産学連携は,実社会におけるモータへの要求を正確に把握することができるという利点もあります。大学だけで閉じた研究を行っているとモータへの要求を把握しづらくなることから,社会に貢献できる研究テーマを適切に設定するという観点からも産学連携は重要であると思います。

研究室ホームページ

北海道大学大学院情報科学研究科 
システム情報科学専攻 システム融合学講座
電気エネルギー変換研究室
https://www.ist.hokudai.ac.jp/labo/eec/index.html
北海道大学 北海道大学 研究者総覧 onちゃん北大事務局 北海道大学研究シーズ集Webサイト
EARTHonEDGE北海道 DEMOLA HOKKAIDO 創業デスク 北海道大学 産学連携メールマガジン