研究者紹介

【ライフサイエンス】 (2014/07/18公開)

◇須藤 英毅 准教授 大学院医学研究科 脊椎・脊髄先端医学講座

側弯症の治療法の確立に向けて


治療から得られる知見を研究へ


 須藤先生は旭川医科大学医学部をご卒業後、北海道大学大学院医学研究科で博士号を取得。現在は北海道大学病院整形外科(北大整形外科)で特に側弯症(※1)患者さんの治療に携わる傍ら、新しい治療方法に関する研究にも精力的に取り組まれています。
 須藤先生いわく、世界に通用するようなオリジナリティーの高い、インパクトのある仕事に取り組むことに大きなやりがいを持っており、臨床医として診療に携わる際に起きるアイデアを基礎研究や臨床研究を通じて実現したいと強く思っているとのことです。

(※1)側弯症:背骨が左右に弯曲した状態。背骨自体のねじれを伴う。原因は様々だが、原因が分からない特発性側弯症が大部分を占めている。

側弯症の治療法の確立に向けて


 北大整形外科における側弯症治療は50年以上の長い歴史があり、北海道内で最大の症例数を扱っているだけでなく、診断から装具治療、手術治療に至るまで世界最高レベルの診療体制を構築し、北海道大学病院の「海外に提供できる医療」として国内外からの見学者も多いとのことです。脊柱変形矯正手術は整形外科学分野の中で最も難易度の高い手術のひとつでありますが、須藤先生は北大整形外科での側弯症治療において中心となり、また日々新たな治療方法の研究開発にも取り組んでいます。


 例えば側弯症の手術治療(脊柱変形治療)において、一般には金属製の支柱(内固定金属)を用いて変形した脊柱を矯正する方法がとられますが、一次元的な矯正(体の左右方向の変形つまり前後面での変形を矯正)となるのが通常であり、同時に側面方向の変形(矢状面の変形)や体軸のねじれも考慮して三次元的に矯正することは困難とされてきました。しかし須藤先生のグループでは、dual-rodを用いた三次元的変形矯正術の開発に成功し(図1)、脊柱変形治療において世界をリードする立場となっています。
 現在は従来の治療法で問題となっている「内固定金属の折損・変形、ひいては矯正損失」を解決するべく、産学連携、医工連携の多面的アプローチにより、矯正損失の極めて少ない新たな治療法の確立に取り組んでいます。
 須藤先生は一方で基礎医学研究にも精力的に取り組んでいます。一例を挙げますと、腰痛などの椎間板障害の原因となる椎間板の変形を抑制するものとして、アポトーシスや細胞周期(※2)関連遺伝子に注目して研究を進めています。ウサギを用いた動物実験では、アポトーシスや細胞周期関連遺伝子の発現をsiRNA(※3)で抑制すると椎間板の変形が抑制されることが明らかになりました。将来的にはこれら遺伝子をターゲットにした椎間板障害治療薬の創製を行うことで、例えば腰痛などの脊椎変性疾患に対し、注射1本で極めて低侵襲に治療を行う(図2)ことが期待されています。

(※2)細胞周期:一つの細胞が分裂等を経て二つの細胞を生み出す過程で起こる一連の事象、及びその周期のこと。細胞は通常「間期(G1期)→ゲノムDNA合成期(S期)→間期(G2期)→細胞分裂期(M期)」という周期を繰り返す。

(※3)siRNA:特殊な二本鎖構造をした短いRNA(リボヌクレオチド)。遺伝子情報を転写したmRNA(メッセンジャーRNA)に結合しその分解を促す活性をもつ。

研究シーズの実用化への思い


 日本や大学をとりまく環境が大きくグローバル化していく一方で、研究開発のスピードも格段に上がってきているように思います。今後は産学連携を通じ、研究開発で不足する部分を補完しながら一刻も早く研究シーズの実用化につなげていきたいと思っておりますので、ご協力の程何卒宜しくお願いいたします。

その他


 昨年指導していた大学院の先生が3年の短縮修了で大学院を卒業しました。医学研究科の総代にも選ばれ大変うれしく思っております。獲得した競争的資金を元手に、現在も3名の大学院生の基礎研究を指導するとともに、病院所属の若い先生の臨床論文を指導するなど若手研究者の育成にも大きなやりがいを感じています。

関連プレスリリース
2011/01/31アポトーシス(プログラムされた細胞死)をターゲットとした椎間板障害の治療に成功
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/110131_pr_med.pdf

研究室ホームページ

http://www.hokudaiseikei.jp/index.html
北海道大学 北海道大学 研究者総覧 onちゃん北大事務局 北海道大学研究シーズ集Webサイト
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