◆微細加工技術を用いた次世代人工聴覚器の小型集積化

【ライフサイエンス】 (2014/08/25公開)
大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻 
神経制御工学研究室
舘野 高 教授


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大脳皮質における聴覚情報処理原理の解明に向けた基礎及び応用研究


 本研究では、微細加工技術を用いて、音を電気信号に変換する蝸牛の仕組みを実装した音響センサや、その電気信号を処理するためのCMOS LSIチップ、生物に埋め込む多点櫛形電極を開発しています。マウスやラットなどの齧歯類を用いた小動物実験により、開発したデバイスの有効性を検証するとともに、大脳皮質聴覚野における音の情報処理原理を解明しようとしています。そのために、まず個々の単一神経細胞ごとの電気的活動の直接計測、多数の神経細胞の活動を同時に計測する動物実験を実施しています。具体的には、光計測を用いて麻酔下動物の生きた状態での神経活動を観測するin vivo実験と、シャーレ内で培養細胞活動を観測し、組織を取り出して細胞の反応を観測するin vitro実験の2つを行っています。2つの実験手法は、各々に長所と短所があり、互いに相補的な関係になっています。


図1 本研究では、特に、現在の人工内耳の装用が困難な高度難聴者が聴知覚を得られるような、完全埋め込み型の次世代聴覚インプラントの小型集積化技術を開発しています。MEMS技術を用いて音響センサ(左)と細胞インターフェイス(右)を、CMOS-LSI技術を用いて電気刺激及び微小信号増幅ミリ秒単位で任意に切り換えることのできる64チャンネルのLSIチップを開発しました。


図2 現在開発中の神経活動計測用の櫛形電極は、一層で16チャネルのプローブを持ち、着脱可能な形式で3次元的に4層積み重ねることで立体的に64チャネルの刺激・記録が可能なものを想定しています。この様に積層化された櫛形電極を試作し、実際に齧歯類に埋め込み後に、in vivo実験による評価実験を現在行っています。

応用例


・次世代人工聴覚器の開発
・難聴等の聴覚疾患の神経機序解明
・聴覚疾患の治療と補償技術開発
・汎用ブレインマシンインターフェイス
・神経系に関する薬理評価実験系提供
・細胞インターフェース製作

産業界へのアピールポイント


 本研究室では、所謂「ものづくり」のドライな工学と「いきもの」の仕組みを理解するウエットな生物学の2つの主な研究課題を実施しながら、生体情報をセンシング及び制御するためのデバイスを開発する基礎研究を行っています。次世代のヘルスケア・イノベーションにおける技術開発の中核を担うことのできる人材を育成する研究教育体制を確立しています。

研究室ホームページ


 http://tt-lab.ist.hokudai.ac.jp/index.html
Update 2016-12-13
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