研究者紹介

【ライフサイエンス】 (2015/03/20公開)

◇中村 公則 准教授 先端生命科学研究院 生命機能科学部門・細胞生物科学分野 自然免疫研究室

口腔癌研究から腸管の自然免疫研究へ・・・


口腔癌研究から腸管の自然免疫研究へ・・・


 北海道医療大学歯学部を卒業後、口腔と全身疾患との関係に興味を持ち、研究生活をスタートしました。当初の研究内容は口腔癌の転移のメカニズム解明と抗体による標的化治療法の開発でした。その後、現在の研究室である北海道大学の綾部教授と出会い、食品、医薬品及び微生物と腸の自然免疫による腸内環境の解明を目指す研究を始めました。癌研究から腸管の自然免疫へと、一見、関連性がないように思われるかもしれませんが、腸内環境の研究を進めていけば行くほど、発癌や生活習慣病などの様々な全身疾患と口腔から摂取する食品との関連の深さがわかってきて、本来のやりたかった研究が現在できていると思います。

抗菌ペプチドによる自然免疫機構の解明


 食素材・成分と、寄生体であり100兆個以上が共生している腸内細菌、宿主の小腸陰窩基底部に存在するPaneth細胞から分泌される抗菌ペプチドであるαディフェンシンの三者が「腸内環境」を決定し、そのクロストークが健康維持と疾病に関与するという仮説のもとに研究を進めています。私たちの研究室では、αディフェンシンが、病原菌は排除するが常在菌と共生することで腸内環境を維持・制御する可能性を示しました (1)。そこで、様々な疾患モデル動物を使用して、αディフェンシンの健康維持、疾病発症および病態形成への関与を明らかにすると共に、αディフェンシンを「ものさし」とした食の新規機能性評価系を構築し(2)、今後、腸内環境の国際的評価基準を確立することを目標としています。また、小腸組織培養系とαディフェンシン定量系を組み合わせてハイスループットな in vitroでの腸内環境評価系を樹立し、未だメカニズムが分かっていない多彩な腸機能と食品機能との関係を体系的に解析することで、食素材・ 成分や医薬品による免疫賦活および老化物質制御等の機能性を解明し、食に高い付加価値を創生できればと考えています。

産学連携への思い


 大学での研究で得られた基礎的な結果を、どのように利用することで社会に迅速に還元できるのかを考えるのは、研究者だけで限界があります。研究シーズを社会貢献へと繋げるためには、多様な視点と企業との連携は必須であり、今後、その重要性は高まっていくと思います。

研究室紹介


 研究室では、この他に腸上皮細胞の再生・分化メカニズムや組織幹細胞の解明及び星細胞を活用した線維症治療、さらに難治性疾患に対する新たな再生医療や予防医療の研究開発等も行っています。
ご興味のある方は、以下のアドレスを参照ください。
 http://altair.sci.hokudai.ac.jp/infsig/

参考文献


(1) Masuda K et al., J Innate Immun (2011)
(2) Nakamura K et al., Anal Biochem (2013)

中村准教授の最新のシーズ技術はこちらよりご覧いただけます(2016年研究シーズ集 vol.3掲載)

Update 2016-09-08
北海道大学 TLO通信 創業デスク 北海道大学研究シーズ集 vol.4
食科学プラットフォーム 北海道大学URAステーション 北海道大学 研究者総覧 onちゃん北大事務局