研究者紹介

【ライフサイエンス】 (2015/04/14公開)

◇金子 知生 講師 北海道大学病院 高次口腔医療センター

粘着性ゲルとの出会い


粘着性ゲルとの出会い


北海道大学歯学部を卒業してから歯科矯正学の大学院に進み、大学院では歯牙移動の組織的な研究を行っていました。大学院を修了後、矯正歯科臨床研究を行ってきました。

その中で、北海道大学大学院先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門ソフト&ウェットマター研究室の龔剣萍先生と黒川孝幸先生の粘着性ゲルの研究に興味を持ち、歯科領域に利用できないかと思い、龔剣萍先生とお会いして、幸いにも共同研究して頂けることになり、この粘着性ゲルを歯科領域に応用する研究を始めました。

そして、現在は口蓋裂患者さんの言語治療の補助装置として使用される口蓋閉鎖床に応用するための研究を始め、そのことで特許申請するに至りました。
今後はさらに実用化し、口蓋裂患者さんの負担を緩和していければよいかと思っております。

粘着性ゲルの口腔領域への応用


この研究による口腔内装置を口蓋閉鎖床として用いる場合、粘着性を有するゲル組成物を口腔内粘膜に接触させて固定させることができるため、従来の口蓋閉鎖床とは異なり、クラスプを必要とません。

このため、クラスプに起因する歯肉炎の発生を低減することができ、歯列の側方成長の妨げを回避でき、締め付け感、圧迫感等無しに快適に装着することができ、口蓋閉鎖床を着脱する際には口腔内を傷付けず安全に行うことができます。

また、歯の未萌出時期にも装着でき、早期より言語トレーニングを行うとことができます。さらに、薄いフレーム上に薄くゲル組成物を形成させることができ、均一な厚さとすることができます。
このため、装着時の違和感が軽減されるとともに、口腔空間を広く確保することができ、舌の可動領域が広がることで言語トレーニングに有効です。

粘着性ゲルなど機能性高分子ゲルの口腔領域へのさらなる応用


本研究は北海道大学大学院先端生命科学研究院先端融合科学研究部門ソフト&ウェットマター研究室と共同研究開発を行っています。現在は粘着性ゲルを口蓋裂患者の口蓋閉鎖床に応用していますが、今後はマウスガードにも応用していく予定です。
また、この素材は義歯などの床粘膜面に応用が可能で、歯科領域にイノベーションできるのではと考えられます。


図1.指に付いたゲル


図2.ゲルを接着したポリカーボネートの
口蓋閉鎖床の口蓋粘膜面

研究室紹介


高次口腔医療センターでは口蓋裂患者さんの治療を行っております。
口蓋裂患者さんは生後すぐに様々な治療が開始されます。
その際に咀嚼、嚥下、言語などの機能を習得していきますが、このゲルの口蓋床が実用されると患者さんの負担がかなり軽減されると考えられます。

ご興味をお持ちの方は研究室まで気軽にお問い合わせください。http://www.den.hokudai.ac.jp/contents/compendium/gakuko/

金子講師の最新のシーズ技術はこちらよりご覧いただけます(2016年研究シーズ集 vol.3掲載)

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