研究者紹介

【その他】 (2016/09/26公開)

戸谷 剛 准教授 大学院工学研究院 機械宇宙工学部門

知を生かした製品を産み出すことで社会貢献をしたい


研究者となったきっかけ


研究者になりたいと積極的に思っていたわけではなく、気が付いたら研究者になっていたというのが実情です。

博士後期課程の3年生の春、就職活動をする時に、卒業見込みが立っておらず(査読付き論文を1本以上学術雑誌に掲載しないと博士論文の審査に入れない)、就職活動ができませんでした。

しょうがないのでそのまま研究を続けていたら、助手の採用枠が転がり込んできて、採用されたことが研究者になったきっかけです。

研究テーマ


幾つかの研究テーマを持っています。
(ア)相変化をしない固体蓄熱材—結晶構造の変化で蓄熱する蓄熱材、
(イ)特定の波長の赤外線を強く放射するエミッター、
(ウ)超小型衛星の熱設計、
(エ)大型宇宙構造物用ラジエータ、などです。
今回は(ア)と(イ)についてご説明します。

相変化をしない固体蓄熱材—結晶構造の変化で蓄熱する蓄熱材


この研究は、超小型衛星の熱設計をしやすくすることを最終目標に、超小型衛星の熱制御に適した熱制御材として、結晶構造の変化により蓄熱する蓄熱材の開発を行っています。

多くの蓄熱材が固相-液相の相変化によって蓄熱しています。微小重力下での液相は、伝熱面との濡れ性が悪いと伝熱面に接触せず、熱伝達が著しく悪くなるという欠点があり、液相と伝熱面との間の濡れ性に注意が必要です。

そこで、本研究では、固相-固相の結晶構造の変化により蓄熱するトランス-1,4-ポリブタジエンに注目しています。


開発された蓄熱器は、2014年6月20日に打ち上げられた超小型衛星HODOYOSHI4号機に搭載され、宇宙での性能実証試験が行われてきました。HODOYOSHI4号機のデータを解析したところ、図3に示す通り、蓄熱器が宇宙空間でも所定の温度で蓄熱・放熱していることが確認されました。

特定の波長の赤外線を強く放射するエミッター


この研究は、乾燥過程を省エネルギー化することを目標に研究を行っています。

表面微細構造の1種である金属ー絶縁体ー金属のメタマテリアル構造(MIM構造)を用いることで、フィルターを用いなくても、赤外線の波長をコントロールすることができるようになりました。

表面微細構造の多くは狭い面積に作成されてきましたが、上記の構造を150 mm角の範囲に微細構造を作成することができるようになりました。

トルエンのみを乾燥させた場合、黒色塗装面+フィルターを用いた従来の波長制御赤外線ヒーターよりも、約40%投入電力を削減できることが分かりました。


図5 MIMエミッターの垂直放射率:
トルエンの吸収帯で放射率を大きくすることに成功


図6 トルエンの揮発履歴:MIMエミッターの方が早く乾燥している

この技術は、特定の波長で強く赤外線を放射できます。
特定の波長で赤外線を放射することにより、これまで進まなかった化学反応や作ることができなかった物質を作ることができるのではないかと考えております。

社会貢献と新しいものを産み出すちから


自分が関わった研究・開発が、製品となり、社会貢献できることを強く望んでいます。
大学人として、知を創造するだけでなく、知を生かした製品を産み出すことで社会貢献をしたいと考えています。

研究者の持つ研究シーズを企業様にお認めいただき、共に育てて製品にしていただく、企業様が獲得したいブレークスルーやお困りのことを大学の研究者が歩み寄って手助けすることも、新しいものを産み出すには重要だと思っています。

研究室ホームページ


大学院工学研究院 機械宇宙工学部門 
宇宙環境システム工学研究室
http://mech-hm.eng.hokudai.ac.jp/~spacesystem/

戸谷准教授の最新のシーズ技術はこちらよりご覧いただけます

Update 2016-12-07
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