シーズ技術紹介

【ライフサイエンス】 (2016/12/06公開)

新規前立腺がん診断抗体

大学院医学研究科 生化学講座 医化学分野|病理学講座 腫瘍病理学分野
畠山 鎮次 教授|田中 伸哉 教授
前立腺がんの確定診断に有用なTRIM29抗体。臨床サンプルでの検証データあり。
既存の確定診断に用いられる抗体(p63抗体、34βE12抗体)で認識できないサンプルも検出可能。
既存抗体同様にTRIM29抗体は前立腺がんでは検出されないのが特徴。

技術概要


前立腺がん患者は日本において急増しており毎年4-5万人が前立腺がんと診断されている(1995年以来30倍)。2024年には胃がんを抜き日本人男性の首位を占めると予測されている。正常な前立腺は、腺細胞及び基底細胞からなっており、腺細胞の周囲に基底細胞が存在する組織像が観察される(図1)。

一方で、基底細胞は前立腺がんでは消失することが知られており、正常な基底膜で発現しているp63や34βE12等に対する抗体で前立腺の免疫組織診断を行い、基底細胞の消失を確認することによって前立腺がんの確定診断が行われている。しかしながら、既存の抗体では染まらないケースもありより感度の高い抗体が求められている。

TRIM29(Tripartite motif-containing protein29)は、分化において転写制御因子等の機能が示唆されている分子。がんとの関係では悪性胃がんでの高発現等の研究はあるが前立腺がんでの発現消失に関する知見は本研究が初めて。本抗体による前立腺がんの確定診断用途が期待できる。
トリプルネガティブの乳がんの特定タイプも同様に検出可能。

診断マーカーとして実用化すべく産業界のパートナー企業を募集中。


図1

既存マーカーに比べたTRIM29の優位性



1.34βE12との比較
免疫組織染色では、前立腺がんが否か判断できなかった症例にて、34βE12で認識できなかったがTRIM29抗体では認識できた。

2.p63との比較
p63は核のみに発現。TRIM29は細胞質に発現。
免疫組織染色では、臨床検体の組織切片を診るがスライスする切片に核が含まれな部位もありp63抗体では検出できないケースがある。

一方でTRIM29抗体は細胞質での検出となりp63に比べ検出される可能性が高い。

本研究に関連する知的財産


  • WO/2014/098135 「前立腺基底細胞の検出方法」

論文情報


  • Kanno et al., Acta Histochem,116:708-712(2014)
    TRIM29 as a novel prostate basal cell marker for diagnosis of prostate cancer.
  • Masuda et al.,Nature Commun.,6:7299(2015)
    TRIM29 regulates the assembly of DNA repair proteins into damaged chromatin.

研究室ホームページ


大学院医学研究科 生化学講座 医化学分野
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~d20505/
大学院医学研究科 病理学講座 腫瘍病理学分野
http://patho2.med.hokudai.ac.jp/


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