研究者紹介

【ライフサイエンス】 (2017/06/22公開)

佐藤 悠介 助教 大学院薬学研究院 薬剤分子設計学研究室

核酸医薬品をひろめるために


薬とモノづくり


子供の頃から薬にお世話になっていることもあり、薬に対してぼんやりとした興味がありました。薬といえば薬剤師、薬剤師といえば薬学部、大学といえば(実家から通える)北海道大学、という安直な発想から北大薬学部へ進学することにしました。

配属する研究室を決める際には、何かモノを作るのが自分の性に合っているだろう、ということで現在所属している薬剤分子設計学研究室への配属を決めました。実際に性に合っていたのか、研究は楽しく、そのまま教員として大学に残り現在に至ります。

核酸を効果的に標的に届けたい


核酸は様々な疾患の原因となるたんぱく質の発現を遺伝子レベルで制御することが可能であることから、難治性疾患に対する次世代の治療薬として非常に魅力的な分子です。

その一方で、核酸は単独で生体に投与されても分解されやすく、また患部以外にも作用してしまうリスクもあり、効果的な核酸送達システムの開発が必須となっております。近年、脂質分子に核酸を内包して標的細胞への伝達する技術も開発されていますが、細胞に取り込まれた後に核酸を効率よく放出できないという課題もあります。

当研究室では、これらの課題を解決するために、脂質ナノ粒子による核酸送達能力を向上させるため、新規の機能性物質の開発研究を行っています。これまでに、主に脂質ナノ粒子の細胞内動態の改善を目的としたpH応答性カチオン性脂質の開発をしています。

第一世代として開発したYSK05は既存のトランスフェクション用脂質と比べて高い核酸導入能を示すことを明らかにし、肝臓、がん、免疫細胞、脳など、様々な組織への核酸送達への応用に成功しています。第二世代として開発されたYSK13・YSK15ではさらなる核酸送達効率の向上が認められ、その効率は世界トップクラスとなっています。

現在はpH応答性カチオン性脂質の化学構造・物理化学的性質と脂質ナノ粒子の体内動態・核酸送達能との関連性を明らかにすると共に、さらに機能の優れた新規脂質の創出に向けて開発を続けています。また、脂質ナノ粒子の粒子径を制御する物質や特定の細胞を標的化するためのリガンドなど、様々な機能性物質の開発を行っています。

研究室の紹介。研究者として


私は原島秀吉教授の主宰する薬剤分子設計学研究室の下、学生の頃から主としてin vivo核酸送達システムの開発を進めています。当研究室では核酸だけではなく、低分子化合物やタンパク質といった様々な分子の送達を試みています。また、標的も肝臓、がん組織、免疫細胞、細胞内の特定のオルガネラなど、多岐にわたります。

薬物送達学は学際分野であり、幅広い視野や技術が求められることから難しい部分もありますが、その分面白味も大きいと思います。これまでに上市された核酸医薬品は片手で数えられるほどしかありませんが、低分子薬物を抑えて現在の医薬品市場を席巻しているバイオ医薬品のように、これから医薬品市場での存在感が大きくなっていくことを期待しています。また、核酸送達システムの研究者としてその実現に少しでも貢献できるよう、日々研究に励んでいます。


北海道大学 大学院薬学研究院
薬剤分子設計学研究室
http://www.pharm.hokudai.ac.jp/yakusetu/
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