シンポジウム「北海道の魚類養殖-新たな可能性を探る-」


これまでに開催した食科学プラットフォームセミナーは、食に関する「生産」や「保存・輸送」という切り口から、最先端の研究や技術開発について取り上げて来ました。
今回、食科学プラットフォームでは「魚類養殖研究会」と共催シンポジウム「北海道の魚類養殖~新たな可能性を探る~」を開催し、養殖研究・事業の現状や事例、今後の展開等について講演・意見交換を行い、これからの北海道での魚類養殖の進め方等について検討致しました。





日時|平成30年11月6日(火)13時00分~17時15分
会場|北海道大学大学院工学研究院 フロンティア応用科学研究棟 鈴木章ホール
主催|魚類養殖研究会 食科学プラットフォーム
共催|ロバスト農林水産工学科学技術先導研究会 
   北海道立総合研究機構 
   北海道大学 産学・地域協働推進機構

当日の様子

11月6日(火)、本学フロンティア応用科学研究棟 鈴木章ホールにおいて、魚類養殖研究会との共催シンポジウム「北海道の魚類養殖-新たな可能性を探る-」を開催しました。
シンポジウムには110名の方にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。
シンポジウムの概要について簡単にご報告させていただきます。


基調講演


「我が国における閉鎖循環式陸上養殖システムの現状と課題~魚食文化と市場性の視点から~」
水産研究・教育機構 水産大学校 准教授 山本 義久

〇閉鎖循環式陸上養殖は、天然災害や環境汚染などのリスク回避が可能な養殖方法かつ、高効率な養殖生産を可能である。
〇講演者が開発した閉鎖循環式陸上養殖システム及び、閉鎖循環飼育の有効性を実証した事例紹介。
〇「食のブランド化」戦略により陸上養殖で生産された魚介類によりビジネスモデルについての考察。
〇我が国の文化の大きな柱であり、世界的にも注目されている魚食文化の天然資源は、減少し枯渇する可能性がある魚種も少なくない。そのため、多様な魚種を適正に生産供給するシステムを開発することは極めて重要である。


講演1


「道総研の取り組む養殖研究について」
北海道立総合研究機構 さけます・内水面水産試験場 主査 佐藤 敦一

〇近年、国内外では養殖サーモンの需要が拡大している。
〇魚類養殖の3要素「水・餌・種」
〇水:大幅な低減が可能な閉鎖循環養殖システム開発を共同研究で進めている。
〇飼料:主要原料である魚粉を低減する試験研究を進めており、特に、大豆粕中に含まれる抗栄養因子を特殊な発酵処理によって低減した原料に注目している。
〇育種:2019年度から栽培水産試験場が中心となって育種に関する試験研究が開始される。


講演2


「北海道大学における育種研究」
北海道大学大学院水産科学研究院 准教授 藤本 貴史

〇育種は遺伝を基本とし、対象生物の経済形質の改善を目的として行われる。
〇サケ科魚類では、選抜により作出された高成長性のタイセイヨウザケやニジマスが養殖に使用されている。
〇育種には、親世代の中で目的形質が優良な個体を親魚に用い、子世代での形質改良を行う選抜育種が基本にあるが、優良な系統を樹立するには長期間が必要となる。これに対して種間の交雑による雑種強勢を利用した雑種強勢育種や、遺伝子組み換えやゲノム編集による育種は短期的に優良な個体を得ることができる。
〇交雑による雑種強勢育種は様々な魚種で試みられ、サケ科魚類においては同属異種の組合せだけでなく、異属間の組合せも試みられている。
〇サクラマスを親魚に用いることにより北海道としての特色を出すとともに、他のご当地サーモンとの差別化を図っている。
〇育種研究には育種産物の冷凍保存が育種支援技術として必須である。


講演3


「三陸でのギンザケ養殖の現状とベニザケ養殖技術開発について」
水産研究・教育機構 北海道区水産研究所 生産環境部長 黒川 忠英

〇宮城県におけるギンザケ養殖は、1990年代頭には生産量2万トンに達し経営体数 も300以上あったが、経営淘汰と規模拡大が進んで生産量が減少し、1万3千トンで経営体数も約60となっている。そのため、既存のサーモン養殖に対するニーズは経営改善につながることが目標となる。
〇養殖ビジネスは多くの要素の総体であり、一つの技術開発で問題解決というわけにはいかず、産業全体を見渡し各段階のボトルネックの改善を目指す研究体制が必要。
〇H27年度より水産庁「養殖魚安定生産・供給技術開発委託事業」においてベニザケの養殖技術開発に着手。
〇現状ではまだ生物学的に大型のベニザケを育成できるか否かの判断までも至っていない。


講演4


「ギンザケ種苗生産とニジマス養殖について」
株式会社吉原水生 専務 吉原 大

〇ギンザケの種苗生産については、毎年発眼卵が約900万粒、稚魚が約100万粒。主に三陸や鳥取県の海面養殖用に各地の内水面事業所へ発送。
〇試験場提供の偽雄の精液を使用して全雌化。
〇評判の良い卵が採れた年の再現が毎年できるのか、ウイルス性腎臓病発症によるロスの軽減、採卵後の魚がらの処分が今後の課題。
〇ニジマス養殖については、毎年15~20トンの刺身用三倍体ニジマスを活魚で出荷。
〇海外産サーモンやご当地サーモンとの競争、地元でも知名度と販売拡大方法模索、スチールヘッド(海面養殖用)の三倍体化と種苗としての可能性が今後の課題。


講演5


「チョウザメ養殖と地域振興」
株式会社美深振興公社 チョウザメ事業 統括 堤 尚信

〇道北の天塩川に隣接する美深町では1983年にチョウザメの飼育を開始。
〇チョウザメは養殖期間が一般魚類に比べ長く、短縮化が必要。
〇現在日本で養殖されているチョウザメは北海道の一般的水温では成長が遅く、北方系の冷水に強い品種を作ることが必要。
〇食材としてのチョウザメは、和洋中すべてに使用でき、高級食材。
〇キャビア以外で商品になるものを開発する。




パネルディスカッションの様子

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