オランダ王国大使館農務参事官Evert Jan Krajenbrink氏の講演会報告

  • 2017年6月26日

2017年6月21日(水)、北海道大学農学部大講堂において、「農業王国オランダの今を語る-第3次農業革命に向けて-」と題し、オランダ王国大使館農務参事官Evert Jan Krajenbrink氏の講演会を開催しました。

 オランダの農作物の輸出額はアメリカに次いで世界第2位。その背景にある、食のサイエンスとビジネスを融合させ、 世界の食の一大集積拠点となったオランダフードバレーは、世界中から注目を集めています。昨年の9月にオランダ王国大使館農務参事官として着任されたEvert Jan Krajenbrink氏が、この度、初めて来道されました。この機会に、「オランダ農業クラスターの課題と展開」と題して、ご講演いただきました。なお、逐次通訳は同大使館上席農務補佐官 齊藤 裕子様にお願いしました。

ご講演の概要について、簡単にご紹介します。

・オランダと日本の農産物の輸出入額を比較すると、輸出額はそれぞれ、889.1億ドル、59.5億ドル、輸入額は、601.0億ド
 ル、732.5億ドル(2015年)。確かにオランダの輸出額は大きいが、輸入額も大きい。一次産品を安く仕入れて、付
 加価値をつけて高く売ることにより利益を得ている。それにしても、日本は輸入に頼りすぎていると言わざるを得ない。

・主要な輸出国は、ドイツ、次にUK、フランス、ベルギーが続く。つまり隣国への輸出が大きい。輸出額は、いずれの輸
 出国に対しても、2012年から2016年まで継続して伸びているのは注目に値する。

・オランダ農業クラスターの成功の要因は、Research、Business、GovernmentのGolden Triangleがうまく行っているか
 ら。ここで重要なのは、車に例えるなら、ドライバーは企業であること。それも大手企業が望ましい。

・具体例として、乳業セクター、家畜セクター、野菜・果物セクター、花卉セクターを紹介。共通して言えることは、いずれも
 経営体数が減少しているにも関わらず、生産額は増大している。つまり、大規模化が進んでいることを意味している。

・最後に、オランダアグリビジネス成功の要因として、次の5項目をあげた。1.EU市場を見据えた戦略、2.農産物物流の
   重要性、3.起業家活動を刺激  4. 付加価値とイノベーションに注力、5.生産と研究開発のクラスタリング

オランダと日本では置かれた環境や気象条件も異なることから、真似をしたからと言って成功するとは限りませんが、今回の講演は私自身にとっても大いに勉強になりました。ご講演いただいたKrajenbrink氏に深く感謝するとともに、非常にわかりやすく逐次通訳いただいた齊藤様に心より感謝申し上げます。

また、今回は学内外から132名の方々にご出席いただきました。ご多忙のところをご参加いただき、ありがとうございました。北海道の農業、酪農業、畜産業にお役立ていただければ幸いです。

ちなみに、講師のKrajenbrink氏はクローニンゲン大学で農業経済学を専攻され、博士号を取得されておられます。あの説得力のある説明には、なるほどと感心した次第です。今回北大で過ごした時間を大変喜んでいただけたようで、また来ていただけるとのこと。その時には、皆様との交流の場も用意させていただければと思っています。お楽しみに!

なお、本講演会は、北海道大学 大学院農学研究院、大学院国際食資源学院との共同主催、また、オランダ王国大使館、NPO法人北海道グリーンテクノバンク、北大R&BP推進協議会との共催で開催させていただきました。最後になりましたが、関係各位のご協力に感謝申し上げます。
(文|木曽)