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【北大スタートアップレポート第三回】世界を変える!ビジネスアイデアコンテスト開催報告 その2

2021.03.24
北大におけるスタートアップの取り組みにスポットライトを当てる本シリーズ。今回は、北大生も参加したビジネスアイデアコンテストの模様その2をお届けします。 その1のレポートはこちら
8チーム全てのプレゼン発表が終わると、審査員は別室で審査を行います。 その間、発表者とオンラインでの視聴者は、金子純一氏(北海道大学産学・地域協働推進機構 副機構長)からEARTH on EDGE北海道について、阿部正明氏(札幌市経済観光局産業振興部IT・イノベーション課 スタートアップ推進担当係長)から札幌・北海道スタートアップエコシステムについて、 それぞれの取組・事業紹介を受けました。大学や国・地方自治体の立場から手を携えて行うスタートアップ支援からは、多くの期待が寄せられていることが分かります。
そして、いよいよ結果発表です。審査員は、山本強氏(北海道大学産学・地域協働推進機構 特任教授)、須田孝徳氏(苫小牧工業高等専門学校 教授)、森本淳志氏(日本政策金融公庫北見支店 支店長)の3名であり、山本強氏が審査員長を務めます。
審査員は、「発想(アイデア)」「新規性」「具体性」「実現可能性」「市場性」「熱意」のポイントから審査を行います。 今回は、事業者・起業済部門、学生・起業前部門、両部門共通において計4チームが受賞となりました。
まず、事業者・起業済部門の最優秀賞(賞金30万円)は「高栄養素・高浸透力の新種の油『発酵ナノオイル』」を提案した株式会社MARVEROUSです。 「圧倒的なヘアケアシステムを作る」を目標に、ヘアケア用の発酵ナノオイルの販売を目指している株式会社MARVEROUSは、ロケット燃料の開発中に発見した新種のオイルの製造方法で特許を取得しています。 発酵ナノオイル(株式会社MARVEROUS)は、セルロースナノファイバー(日本製紙株式会社)と合わせることで初めて、髪の毛の強度向上・保湿・手触りといった性能を発揮するといいます。 さらに、効果は動物性繊維にも応用可能性が見込まれ、ウールなどを扱う服飾業界とも相談を重ねているなど、そのコアコンピタンスは幅広い分野に及んでいます。
そして、学生・起業前部門の優秀賞(賞金10万円)は「アルツハイマー病の確定診断を実現可能にする核医学診断装置部品の開発」を提案した北海道大学電子ビーム材料工学研究室B TIBrグループです。高い独自技術をもってアルツハイマー病の診断を行うアイデアは、高齢化率が高い日本社会において重要な存在となることが期待されます。また、北海道大学電子ビーム材料工学研究室B TIBrグループは、ICT ビジネス研究会賞としてICT ビジネス研究会が主催のJapan ビジネスデザイン発&発表会全国大会(2021年3月12日神田明神ホール)への挑戦権も獲得しました。
両部門共通での奨励賞(賞金5万円)は、「www.2gaijin.com-Second hand item trade platform for foreigners」を提案した株式会社Kitalabsと「バス停等を活用した観光情報や観光地・飲食店の魅力の発信」を提案したチームどさんこです。 チームどさんこは、動画制作、広告掲載、若年者・高齢者への動画制作指導(小中高生の地元愛醸成やIT技術の習得、高齢者の情報格差改善)等の事業を通じて、Uターン就職促進や北海道からの若年者流出を減らすことを目指しています。
今回のビジネスアイデアコンテストでは、見事北大生の2チームが表彰されました。北海道大学電子ビーム材料工学研究室B TIBrグループと株式会社Kitalabsには、大きな拍手を送りたいと思います。受賞、おめでとうございます! 惜しくも受賞には至らなかったものの、「リアル・ハプティクスでオンラインショッピングにモノの『感触』をもたらす」アイデアを提案したReal Touchは、審査員から評価されたように革新性が光りました。 今後は、革新性に加えてコスト・収益面などの実現可能性を考慮してくことが期待されます。
活況を呈した今回のビジネスアイデアコンテストでは、山本強審査員長の講評にもあった通り、 熱量あふれるプレゼンテーションが多く、発表されたビジネスアイデアを実現させるその心意義が画面越しにも伝わってきました。 「世界を変える!」と銘打たれているように、事業の実現には実現可能性の考慮だけでなく熱い思いと実行力は欠かせません。 今後もより多くの北大生が起業に挑戦することと思いますが、抱いた情熱を忘れずに活躍していくことが期待されます。皆様の応援もぜひよろしくお願いします。
【集合写真】
作成:北海道大学農学部農業経済学科4年 池谷 航