トピックス

【北大スタートアップレポート第三回】世界を変える!ビジネスアイデアコンテスト開催報告 その1

2021.03.24
北大におけるスタートアップの取り組みにスポットライトを当てる本シリーズ。今回は、北大生も参加したビジネスアイデアコンテストの模様をお届けします。
2021年3月5日、北大R&BP 推進協議会とEARTH on EDGE 北海道の主催する「世界を変える!ビジネスアイデアコンテスト」発表会・審査会が開催されました。コンテストには、北大生3名(3チーム)が、多彩なチームの中から熾烈な選考を勝ち抜いた末、最終選考にたどり着き、うち2名(2チーム)がそれぞれ優秀賞、奨励賞を獲得しました。
本ビジネスコンテストは、起業家マインドを持つ人材の裾野を拡大し、北海道からイノベーションに挑む意欲を喚起することで、ベンチャー企業の創出やその支援体制の強化することを目的となっています。 今大会には、共催として北海道、後援・協力として11社・機関が携わっており、その注目度・期待度の高さがうかがえます。 厳しい1次選考を突破した、出場全8チームによる熱のこもったプレゼンテーションと、審査員からの鋭いフィードバック・質問が繰り広げられたコンテストの全容を、北大生を中心に見ていきます。
北大生の1チーム目は、「リアル・ハプティクスでオンラインショッピングにモノの『感触』をもたらす」アイデアを提案したReal Touchです。 リアル・ハプティクス(real haptics)とは、簡単に言えばロボットが触れたモノの感覚を人間の手に伝える技術といったところでしょう。 人間が操作用グローブ等を装着し、手を動かせば対応したロボットアームが動くといった技術は既に開発されていますが、ここに人間の触覚もプラスできるようになるということです。 例を挙げれば、リアル・ハプティクスを用いればロボットアームが触れたトマトの柔らかさを、操作ローブを通じて人間が感じることができるといった具合です。
Real Touchは、この技術を用いて衣服のオンラインショッピングで、ユーザーが肌触りなども考慮して購入を検討できるようなサービスを目指しているといいます。 現在、構想段階にあり、今後は配属予定の研究室でリアル・ハプティクスと人間の力触覚について研究し、特許を取得することが目標です。
北大生の2チーム目は、「アルツハイマー病の確定診断を実現可能にする核医学診断装置部品の開発」を提案した北海道大学電子ビーム材料工学研究室B TIBrグループです。 医療現場では、放射性薬剤を服用した患者の体内からの放射線を測定することで、確定診断(病気の同定)をすることができる放射線診断装置が使われています。
このセンサー部分に使われる放射線センサーに臭化タリウム(TIBr)を用いる点が北海道大学電子ビーム材料工学研究室B TIBrグループの独自性だといいます。 現在、臭化タリウム(TIBr)を用いたデバイス開発は、製造技術ハードルが高いことから製造方法が確立していないとのことです。 その点に市場性を見込み、発表者は人生を懸けて研究を行ってきており、2021年中には法人を設立する予定です。
北大生の3チーム目は、「www.2gaijin.com-Second hand item trade platform for foreigners」を提案した株式会社Kitalabsです。 外国人向け中古品売買プラットフォーム「2gaijin.com」は、家具・家電などの中古品を売買できるように北大の留学生向けに始めたサービスだといいます。 交換留学生などは、日本に半年・1年のみの滞在となるケースが多く毎年家具・家電の入手・放出の機会がある一方、日本語以外の言語でやり取りできるサービスを探している留学生が多いというユーザーペインに着目しました。 在日外国人、留学生の数から十分なマーケットが見込めるだけでなく、前述した留学生の入れ替わりなどでキャッシュフローの観点からも収益性を考えることができます。 現在web開発中であるものの、415ユーザー、854点の商品掲載となっており、開発完了後には更なるユーザー数増加を目指しているといいます。
他の参加チームのアイデアとして、農業の後継者不足を解決するための農家の情報発信サイト、 バス停等を活用した観光情報や観光地・飲食店の魅力の発信、防犯を起点に空き家問題を解決する『空き家の見守り神』、高栄養素・高浸透力の新種の油『発酵ナノオイル』 、売上シェア型資金調達、利益還元サービスがありました。既にサービス化や販売を開始しているアイデアや特許申請中のアイデアが多いなど、技術力や実用性の高いアイデアが集まり、実用化の折には筆者もいくつかのサービス・商品を使用してみたいと思ったほどです。 
作成:北海道大学農学部農業経済学科4年 池谷 航